投資関連法令
トルコの投資関連法令は、簡潔で国際標準に準拠しており、その一方で、それはすべての投資家に平等な待遇を提供しています。投資関連法令の屋台骨は投資推奨及び雇用法No. 5084、外国直接投資法No. 4875、外国直接投資法実施規則、多国間及び二国間投資条約及び部門投資促進に関する様々な法律と関連する副規則から構成されます。
外国直接投資の法的枠組み
1. 外国直接投資 (FDI) 法 No. 4875
外国直接投資 (FDI) 法 No. 4875の目的は、:
• 同国へのFDIを推奨する
• 投資家の権利を保護する
• 投資家と投資の定義を国際標準に整合させる
• FDI のために許可ベースではなく通知ベースのシステムを設置する
• 政策と手続きを効率化することによりFDI のボリュームを増やす
FDI法は、外国投資家と外国直接投資の定義を提供します。さらに、投資の自由、内国民待遇、収用及び国有化、譲渡の自由、国内及び国際調停と代替紛争解決方法、非現金資本の評価、外国人職員の雇用、連絡事務所などのFDIの重要な原則を説明しています。
FDI法実施規則は、FDI法に規定される手続きと原則の規定によって構成されます。外国人に対する就労許可に関するFDI法の目的は、:
• 外国人により実施される仕事を規制する
• 外国人へ与えられる就労許可に関する規定や規則を明記する
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2. 二国間協定
2. a. 投資促進及び保護のための二国間協定
二国間投資関係を改善する可能性を示す国々と1962年以降、投資促進及び保護のための二国間協定が締結されています。二国間投資協定の基本目的は、当該諸国における投資家および投資に関わる待遇基準を設定することにより、経済協力強化につながる環境を確立することです。また、当事者間の資本の流れを強化すると同時に、安定した投資環境を確保することを目指しています。さらに、国際調停に関する規定を設けることにより、投資家と投資受入国との間に起こり得る争議を平和的に解決する方法を規定することを目的としています。トルコは 94か国と二国間投資協定を締結しています。しかしながら、トルコは二重の仕組みがある国であり、国家の法体系の一部とするためには、国際条約を批准・公布しなければなりません。この点に関して、今までの所これら94か国の内75か国との二国間投資協定を発効しています。
【75 か国】
アフガニスタン、アルバニア、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、バングラディッシュ、べラルーシ、ベルギー-ルクセンブルグ、ボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリア、中国、クロアチア、キューバ、チェコ共和国、デンマーク、エジプト、エストニア、エチオピア、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、インド、インドネシア、イラン、イスラエル、イタリア、日本、ヨルダン、カザフスタン、クウェート、キルギスタン、ラトビア、レバノン、リビア、リトアニア、マケドニア、マレーシア、マルタ、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、オマーン、パキスタン、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、カタール、ルーマニア、ロシア連邦、サウジアラビア、セネガル、セルビア、シンガポール、スロバキア、スロベニア、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、シリア、タジキスタン、タイ、チュニジア、トルクメニスタン、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、アメリカ合衆国、ウズベキスタン、イエメン(出典:経済省)
2. b. 二重課税防止条約
トルコは 80 か国と二重課税防止条約を締結しています。この条約により、一方の国で支払われた税金を他方の国で相殺し、二重課税を防止することができます。
【80 か国】
アルバニア、アルジェリア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、バーレーン、バングラディッシュ、べラルーシ、ベルギー、ボスニアヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、エジプト、エストニア、エチオピア、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、インド、インドネシア、イラン、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、ヨルダン、カザフスタン、クウェート、キルギスタン、ラトビア、レバノン、リトアニア、ルクセンブルグ、マケドニア、マレーシア、マルタ、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、オマーン、パキスタン、ポーランド、ポルトガル、カタール、ルーマニア、ロシア連邦、サウジアラビア、セルビア・モンテネグロ、シンガポール、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、韓国、スペイン、スーダン、スウェーデン、スイス、シリア、タジキスタン、タイ、チュニジア、北キプロス・トルコ共和国、トルクメニスタン、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、アメリカ合衆国、ウズベキスタン、イエメン(出典:収入管理局)
トルコは、今後も他の国々と条約を締結することにより、二重課税防止条約の対象地域を拡大します。
2. c. 社会保障協定
トルコは、26 か国と社会保障協定を締結しています。両国の外国人労働者が移動しやすい環境を提供しています。今後 FDI 出資国の範囲拡大に伴い、締結国の数も増加する見込みです。
【26 か国】
アルバニア、オーストリア、アゼルバイジャン、ベルギー、ボスニアヘルツェゴビナ、 ブルガリア、カナダ及びケベック州、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、フランス、ジョージア、ドイツ、リビア、ルクセンブルグ、マケドニア、オランダ、ノルウェー、ルーマニア、スロバキア、セルビア、韓国、スウェーデン、スイス、北キプロス・トルコ共和国、英国(出典:社会保障機関 <SSI>)
3. 関税同盟及び自由貿易協定 (FTA)
1996 年、トルコと欧州連合の間で関税同盟協定が締結され、トルコと EU 諸国の間で、関税等に制限されることなく、自由な取引ができるようになりました。EU – トルコ関税同盟は、トルコの EU 正式加盟に向けた重要な一 歩になりました。
トルコは 37か国と FTA を締結しており、自由貿易地域では、取引対象となるほとんどの商品およびサービスについて関税、輸出入量等の制限、特恵などが排除されます。比較的安価ながら教育水準が高い労働力が付加価値になっているうえに、輸送も費用対効果が高いトルコですが、現在、多数のグローバル企業が EU 市場や急成長を遂げるトルコ市場だけではなく、中東、黒海、北アフリカの市場への第二の供給源および生産拠点としてトルコを活用しているのも、こうした自由貿易の枠組みがあるからです。
【37 か国】
アルバニア、ボスニアヘルツェゴビナ、エジプト、ジョージア、欧州自由貿易連合、イスラエル、韓国、マケドニア、モロッコ、マレーシア、モーリシャス、パレスチナ、ヨルダン、シリア*、チュニジア、モンテネグロ、セルビア、チリ
批准プロセス中:フェロー諸島、ガーナ、コソボ、レバノン、モルドバ、シンガポール
交渉プロセス中:コンゴ民主共和国、カメルーン、コロンビア、エクアドル、湾岸協力会議、日本、リビア、メキシコ、メルコスール、ペルー、セイシェル、ウクライナ
*保留(出典: 経済省)