イスタンブールのアイコンの一つ、ボスポラス海峡は全長約27km、南北方向で黒海とマルマラ海(エーゲ海の北)を繋ぎます。古くから、アジアとヨーロッパを隔てる海峡として有名です。アガサクリスティーのオリエント急行も海峡の西側が終点、ここを船で渡って東側からまた鉄道に乗ってアンカラや遠くバグダッドに、というロマンあふれる海峡ですが、20世紀石油時代の幕開けにはアゼルバイジャンのバクーからの原油がこの海峡を使ってタンカーで輸送され、ヨーロッパへのエネルギーの重要な隘路でした。急角度のジグザグな海峡で一番狭い場所は700mの幅しかなく、タンカーの海難爆発事故もありました。今では三つの橋が両岸を結び、夜はきれいにライトアップされて美しい海峡の夜景を引き立てています。今でも海上交通の要衝であり、トルコと周辺国の経済発展を支えるには貿易流通のボトルネックとなりかねない為、イスタンブール市の西側にイスタンブール運河を建設する計画が動き始めています。